sこんにちは!山小屋バイトを2ヶ月経験したことのあるaimiです。
そのバイト経験と、10年の登山経験をもとに、よくある疑問にお答えしようと思います。
登山はすべて自己責任?
たとえば一番登山者の多い真夏。
一番気をつけなければならないのは熱中症ですが、登山中はそれに加え、高山病や、滑落などの危険も加わります。
夏休みに入ると、山小屋泊で登山を楽しまれる方も多いかと思います。
その際、「具合が悪くなったら山小屋に頼ってもいいのか?」という疑問点が沸いてくると思います。
「登山はすべて自己責任」という意識をお持ちの方が多いと思いますが、尻込みしすぎて小屋泊登山ができなくなるのはとてももったいないです。
とくに初めて行かれる方も多い「夏山」はシーズンも短いですしね。
しかし登山はすべて自己責任?という問いに対しては「自己責任」といえば「自己責任」には間違いないです。
そういった不安のある方向けに、山小屋勤務経験のあるわたしがお答えしたいと思います。
なぜ、山の中では体調に異変が出てくるのか?
標高が高くなり、気圧が低くなることがおもな原因
ただでさえ、「非日常」に気分も高まってしまう山。
しかし、「山」には魔物がひそんでいます。
山に行くと体調が悪くなったこと、ありませんか?
標高が高くなると気圧が低くなる事が原因です。
いつもと同じように呼吸していても血液に取り込める酸素の量が減ってきます。
富士山の頂上では平地の気圧の2/3となり、体内の酸素量は1/2となります。酸素不足が生じると換気の回数が増えるなどの反応が起こりますが、その適切な反応ができない不適応現象のことをまとめて急性高山病といいます。
~初心者のための登山・キャンプ入門より引用
山を歩き始めると、”病気” でも ”ケガ” でもなく体が重く異様にダルい、ツライ、という事がよくあります。
私の場合は、北アルプスに始めていったときは、だるく、吐き気があり小屋に着くなり倒れこんでしまいました。グッタリ。これでは楽しめませんね。
サラリーマンの方でしたら週末の貴重なお休みに「朝早く」山に出かけることも多いと思います。
例えば、東京から長野県の上高地に向かうなら約5時間はかかります。金曜日の仕事のあとに出発し現地車中泊で過ごす人もいるでしょう。
また、疲れが取れていないけれど「友人と約束したから」といって無理にでも行く人もいるかもしれません。
高度障害のほかにも原因はたくさんあるのが「山」
- 前日の疲労
- 睡眠不足
- 環境の変化
- 貧血、脱水
- 雨・風よる低体温
などのいろんな原因で体調不良が起こりますから一概にすべてが高度障害とは言えないところです。
ただ、ひとついえることがあります。
「体調が少しでも悪い」と感じているときに山に行くのはやめたほうが良い。
山小屋は、登山者を見捨てることは絶対にしない
いくら体調を万全にしたとしても高度障害やケガは絶対に防ぐことはできません。
具合が悪くなったりケガをしてしまった場合、
山小屋では
- ヘリを呼ぶ対応をする
- 薬を出してくれる
- 寝る場所など特別に配慮してくれる(要・個室料金)
- あらゆる相談に乗ってくれる
などの対応を行います。
上から順に重症度合いが高い順で記載させていただきました。
結論から申し上げますと「山小屋は、登山者を見捨てることは絶対にしない」です。
具合によってはヘリを呼ぶ対応をする
これはわたしが北アルプスの小屋で高山病になった際に聞かれたことですが、
衣服をゆるめて、しばらく休んでいても嘔吐がとまらなく、真っ青な顔をしていたので
山小屋の対処にも限界がある。まだ明るいしヘリで下山しますか?
と聞かれました。
その頃はガイドさんにもらった薬がきいてきたのもあり、嘔吐も止まったのでお断りしていましたが、大混雑していた小屋でしたので少し考えさせられました。
「ヘリで運ばれるのもありかな・・・」と一寸考えたのですが、思いとどまりました。
仮にヘリが来ていたら、かなり風が起きますし、その周りには人が居られません。
かなりのご迷惑になったと思います。
しかし、「周りに迷惑がかかる」って今思えば思考としては間違っていたと思います。
気圧が低い高所の山小屋ではいつ体調が急変するかもわかりません。
そうなると周りの方にさらに迷惑をかけることになります。
「具合が悪いときは山小屋に一刻も早く相談」してください。
ヘリが飛べるかの状況判断もありますし、もしかしたらタイミング悪くガスが出て飛べないかもしれません。瞬時に相談して、わかる人の仰ぐのがベストです。
「待つ」「躊躇(ちゅうちょ)する」必要はありません。
時間がたてばたつほど選択肢も狭まり、悪い方向に行く可能性のほうが大きいです。
具合が悪い・怪我したなどの場合、近くに山小屋があればすぐに連絡することが重要です。
ヘリが飛ぶか飛ばないかはその後の判断になります。
薬を出してくれる
持病をお持ちの方で「ご自分の薬以外は飲めない」という場合以外は薬を処方してくれる場合があります。
いただけた場合は、丁重に御礼をしておきましょう。
山の中まで薬を持ち運ぶこと自体が、大変なことです。
ただ、アレルギーなどお持ちの方はお断りしたほうがいいでしょう。
夏季山岳診療所を期間限定で設立している小屋もあります。
確認してみましょう。山小屋の公式ホームページに載っています。
寝る場所など特別に配慮してくれる
大部屋に雑魚寝スタイルの山小屋が多い中、山小屋の中には「個室」がある場合があります。
念のためたずねてみましょう。
↓このようなムック本に詳しくのっています。
気分が悪い場合、プライバシーの管理はもちろん、広いスペースでゆっくり休むだけでも、体力的・精神的に回復しますので追加料金を払ってでも個室指定しましょう。
わたしの具合が悪くなった「北岳肩の小屋」は個室がなかったため、広いスペースを貸していただきました。大変感謝しております。
しかもストーブまで当たりやすくしていただいて…
あらゆる相談に乗ってくれる
怪我などでルートや天候情報を考慮していると、リタイヤも考える人もいらっしゃるでしょう。
ルートを変更後のコースタイムや公共交通機関など、わからないことがあれば、山小屋スタッフに聞けば臨機応変に提案してくれると思います。
とくに山小屋近くでは、電波が届かない場所も多いので、「アナログ」でしか情報が得られません。
もし聞く場合は、朝食・夕食混雑時などを避けて、時間を見計らって聞くようにしましょう。
山小屋のスタッフたちが一番忙しいのは食事の提供時です。(山小屋・混雑具合にもよりますが夕食は5時から、朝食は6時〜7時のところが多いです。)
ルートの提案などはご案内するのには時間を要する場合がありますので、その時間を避けたほうがお互いにとっていいでしょう。
わたしも甲斐駒ケ岳で天候不良の際「こもれび山荘」で、下山場所を変えた「北沢峠」~「甲府駅」のバスの時刻を聞いたことがあります。
まとめ:重大なことになる前にスタッフに話をしよう。黙っていて悪化しても、困るのは本人&その周りの人
いかがだったでしょうか?
山小屋は登山者を見捨てることは絶対にしません。
山小屋はそのために作られたといっても過言ではありません。
「ほんとうに困ったときだけに活用」してほしいのは、まぎれもない事実ですが、本人が「大丈夫」でも客観的にみてもらうと「大丈夫ではない」場合があります。
複数人で登山を楽しむ場合は、同行者の体調にも配慮しましょうね。
たとえば「顔色のチェック」。それひとつだけで大きく変わる場合があります。
まあ、何はともあれ、困ったときは山小屋に遠慮なく聞きましょう!
コミュニケーションは大事!
経験をつんでいけばいくほど、「宿泊登山」でないと見れない景色や体験がたくさんあります。
この記事を読んで、「小屋泊登山」の素晴らしさを知っていただけたらと思います。
ぜひ、皆さんも楽しい登山ライフを!
以上、「【山小屋泊する方向け】登山中、気分が悪くなったら山小屋に頼っていいの?」の記事をお届けしました。
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