こんにちは、アウトドアライターのaimi(@aiaiminini)です。
私は圧倒的に単独登山が多いですが、ひとりの登山ほど危険が多いものはありません。
- ひとりになりたい!
- 自然と向き合いたい!
と山に行ったのに本当に独りぼっちで帰らぬ人となる・・・・笑えない話がけっこう起こってるんですよ。私が体験した事例をご紹介します。
山では人がすぐ死ぬ、ということを意識してほしい~私の体験した3つの事例
①白馬岳で人が亡くなるのを目撃
某年8月上旬、はじめての北アルプス・白馬岳に上ろうと長野県・栂池ロープウエーから白馬大池を目指しました。
- 1日目→栂池~白馬大池泊(3時間程度)
- 2日目→白馬岳のピストン~白馬大池泊(往復6時間程度)
- 3日目→白馬大池~蓮華温泉に下山(3時間程度)
事件は2日目に起こります。
快晴の白馬岳山頂を拝み、早めのランチを終え大池のテント場に戻っていた時のこと。
半分くらいを歩いたところでしたでしょうか。
何度もアップダウンを繰り返してうんざりしてきたところ…遠くにモンベルのテントの黄色いフライシートを振っている人がいます。
結構遠くからでも目立つ色なので、救助を求めているのだと察知。
しかしず~~っとガスが晴れたり途切れたりで、ヘリが飛ぶには素人目にも厳しいだろうなという感じがしました。
近づくと、登山道から少し離れた場所にザックが計4つ放り投げてあります。
近くにはいきませんでしたが、登山道で交通整理(?)している方がいたので少しお話をしました。
どうかされたのですか?
ご夫婦の旦那さまのほうが持病で倒れられて、いま心臓マッサージをしているところなんですよ
マッサージをしているのは偶然通りがかった医師の方だというので、私ができることは何もないと思い立ち去ることに。
ヘリが飛ぶといいのですが…
無事に1時間半後に白馬大池のテント場に戻り、夕飯を作っていた時でしたでしょうか。
バラバラバラ・・・・と音がし、ヘリが到着したことを知らせてくれます。
心停止からもけっこうな時間がたったと思われたので、どうなったかは分かりませんでした。
帰宅後ネットで調べてみると、その方は亡くなったとのこと。
残念ですが山という環境は下界とはまったく違うので、持病の発作が突然起きるリスクはかなり高いということなのです。
倒れたお方はそのリスクを背負って&覚悟で白馬山域に足を踏み入れたということ。
- 気温…風が強ければ体感1ケタ
- 湿度
- 風
- 気圧…下界より低い。よって心拍数が上がりがちになる
- 酸素の濃さ…薄い。いきなり激しい運動をすると高山病になる
白馬の稜線は標高2,400m以上がずっと続きます。
真夏でも夜はダウンを着なければならないほど寒いです。
登山前から、山の上はありとあらゆる環境が厳しいことを知らなければなりません。
②飛龍山下山時、道迷い→ビバークしかけ、遭難がどういうものかを知る
つぎは私自身の体験です。
2015年1月東京都・奥多摩の山梨側、奥秩父の山域の境界線に出かけた時のこと。
- 1日目→道の駅たばやま→三条の湯(4時間半程度)
- 2日目→三条の湯→飛龍山→道の駅たばやま(9時間程度)
お恥ずかしながら、このとき2度目の三条の湯泊で気が抜けていたのかもしれません。
1月のひじょうに日の短い時期にかかわらず、出発は少し遅れてしまいました。
さらに標高差にも注目してほしいです。
三条の湯が標高1,080m、飛龍山山頂が2,070m。標高差1,000mをテント泊装備で縦走するということ。ややヘビーですよね( ゚Д゚)
予定通り昼頃に登頂し、下山を開始。
途中の「前飛龍」「禿岩」というポイントまでは正しく進めていたのですが、熊倉山のピークが見当たりません。どうやらちがう尾根を歩いていたようです。
当然、ちがう尾根を歩いているわけですから「なんか変だな」と気づくわけなのですが…
コンパスでみると方向には間違いがなかったし、東京都水道局の作業用テープが張り巡らされていたので、ちがう尾根であれ道はあると認識、そのまま進むことに。
テント泊装備だし、上り返す元気がなかったというのもありますね
この日の日暮れ時刻は17時半。
なが~~~い尾根の終点・国道は見えてこないまま、日没時間が迫ります。
しかし、私はそのときビバーク装備一式を持っていたので焦りはありませんでした。(テント泊した直後だった)
でも、明日は仕事。なんとか下りたい!ということでヘッドライトをつけて粘ります。
※絶対にまねをしないでください。こういう時にこそ事故は起きます
日没後30分ほど歩いたでしょうか、下界が近いことをすぐに悟ります。
「不気味なラジオ放送」がダダ洩れしている民家?があるようで。。。( ゚Д゚)
以下の記事に「熊倉尾根」の記述あり。間違えた尾根はここだったようです
無事帰着!何とか国道に出た!
電話でビバークするって言ってたから、どうしたもんかと思ったけど、無事で何より
この時思ったのは…
「遭難ってこういう時に動いてケガして、動けなくなり亡くなるんだろうな」
日没直後ということもあり、ギリギリ私の視力では足元が見える程度の薄暗さのレベルでしたが、そんないつ真っ暗になるかわからないレベルの暗さなら動かないほうが絶対によかった。
足元滑らせたら一貫の終わりですし、そんなことしているくらいならさっさとテント張って明るくなるまで待ったほうがいいわけで。
ここではダメな例を挙げることになり、大変恐縮なんですが…
もうこんなこと、絶対にしません!
③バリエーションルートの氷爆を見に行く際、崖に落ちそうに
四国では難関と言われていた、愛媛県の「たかたるの滝」!
ビシッと凍った2023年2月に訪問しました。
その帰路におきた出来事…。
サラサラの雪に足を取られ、エアポケットに足を突っ込んでしまいました。
あわや滑落寸前!というところで足が太い木に引っかかり、落ちる寸前で急死に一生、なんとか這い登りました。
引き上げてもらった同行者には感謝です。
たかたるにはソロで行こうとは思っていませんでしたが、ソロでしたら引き上げる力までは残っておらず確実に滑落・遭難コースだったと思います。
思い出すだけで震え上がるシーンでした。
遭難しないための2つの対策
①遭難情報は行く前に必ずチェックしてから登ろう
遭難から身を守るためにどうすればいいか?
そのひとつに「行く山域の遭難情報」を知ることがあります。
いわゆる危険予知です。
行こうとしているルートで遭難が起こっていたら、計画を見直す必要が出てくる可能性もあります。
最近ではSNSで発信されている市町村・各都道府県警察のアカウントもあるので、チェックです。
②登山の「三種の神器(登山届・山岳保険・ココヘリ)」を持って山に入ること
登山する上で「三種の神器」ってご存知ですか?
- 登山届
- 山岳保険
- ココヘリ
のことです。
- 登山届がなければヘリで探す山域が特定できない
- 山岳保険に入っていなければ、ヘリ代が何百万~数千万
- ココヘリがなければ短時間の捜索が不可能
どれかひとつ欠けていても、その日のうちに助かる確率がガクッと下がってしまいます。
とくに1日たった15円という低価格で持てるようになったGPS端末「ココヘリ」の登場により、一気に登山者の意識が高まったと個人的には感じています。
その証拠に、2019年始めには「ココヘリ」加入者が1万人突破!
残された家族に迷惑をかけないためにも、「ココヘリ」所持=登山者の義務ですよ!
まとめ:登山=遭難は紙一重。家族に心配をかけないよう無事に帰ろう
先日ある民間の山岳救助隊の動画を見る機会があって、そこでお話しされていたことなのですが
- 遺体は3日も山に放置されれば自然の色と同化し、見つけにくくなる
- 沢で滑落すると、遺体は流されて人が全然入れないところにも容易に行き着いてしまう
- 半年間、民間の救助隊に山に入っていただくと数千万円単位でお金がかかる
どんなに派手なザックや衣類を身に着けていてもそうなるわけです。
その日のうちに見つからないと生存確率はガクッと下がり、家族には莫大な費用が掛かる。
捜索するのは初動が大事!
登山に出かける前にぜったいに見直すべき。
「三種の神器」なにがなんでもそろえてから山に入りましょう!これは登山者の義務なのですよ!
- 登山届
- 山岳保険
- ココヘリ
以上、『【登山は危険】山では人がすぐ死ぬ、ということを意識してほしい件~私の体験から語ります』の記事をお送りしました。
山岳保険について
山岳保険はどんなものに加入すればいいかわからない方も多いと思います。
ぜひ、チャートでチェックしてみて!