2023年1月、ラニーニャ現象の影響を存分に受けた四国は冷え切っておりました。
2022年12月に史上観測最大のドカ雪が降り(高知市で14cm積雪)、溶けたと思ったらまた雪!1月末の時点では、思ったより根雪になってくれていたようです。
そこで満を辞して、たかたるの滝に向かおうと計画していたのでした。
以前から目をつけていた場所ではありましたが、歩行時間が9時間ときわめて長く、危険ということで躊躇していたのです…
今回は、YAMAPなどのレポートで入山者があるシーズンに向かおうと、いいタイミングで休みをいただいて向かったのです。
高瀑(たかたる)の滝とは?
西日本最高峰・石鎚山の麓、深い山の中に名瀑。落差132mの「高瀑」(たかたる)。所在地の標高が西日本一、落差も西日本一の那智の滝(133m)に次ぐがかなりマイナーな滝です。
travelingnaviより引用
西日本一の氷瀑ということですが、普段はあまり水量のある滝ではないようです。だからこそ、全面氷結してくれるという特徴があり、毎年通う方も多いのだとか。
今回、あまりにハードすぎて、登ってる最中こそ「もう2度ときたくない」とは思いましたが、下山後は「来年も来るぞ」という気持ちに満ち溢れてるのですから、不思議なものですねw
だって、キレイでしたもん!
【今回のコース】諏訪神社前からスタート、林道ショートカット経由で
たかたるへの道は、尋常ではないくらい長くキツイ
諏訪神社→土管駐車場→林道→林道ショートカット(「大成集落」廃村跡)→素堀りトンネル→たかたる登山口→たかたるの滝→帰路はきた道を戻る
歩行距離…17km、歩行時間…休憩1時間込み9時間程度(積雪期の場合)、累積標高差1,300m
登山口をどこにするかどうかで、歩行時間はかわってきます。
この日、ほとんどの方が土管のある駐車場まで入れていましたが、雪や落石の状況によると思うので、なるべく早めの出発をおすすめします。
スタートの場所が結構重要で、時間いっぱいいっぱいで歩く方がほとんどでしょうから、みなさん工夫されていましたね。
- MTB
- 原付にチェーンを巻いて走行
- 小型の車高の高い4駆(当日は姿がなかったのですが、轍がありました。ただし道が悪すぎて安全は自己責任…でっかい穴が空いておりましたし)
毎年通われている方、また明日も来る方などなど。平日はリピーターで賑わっておりました!
たかたるの滝!登山レポート
いちばん手前「諏訪神社」からスタート
県道142号線側から行くと、一般車が入れる突き当たりが、諏訪神社。
ここから先は落石が多く、いっても自己責任ということで…。
朝7時頃、諏訪神社(標高約300m)を出発いたしました。
片道4時間半の、累計標高差1300m、きっつい本格厳冬期登山がスタートです!
「諏訪神社」のMAP
最寄りICは伊予小松 となります。
黒瀬ダムを左に見ながら走り、途中で石鎚ロープウエー方面との分岐があります。
分岐で別れたら、少し細い道になりますが、舗装はされているので安心ですよ。
廃村跡はちょっとホラー、ジリジリ高度を上げていく
林道ショートカットは、廃村跡を辿るコース。ここを通らないと+3km歩行を強いられるそうなので、急ですが登る価値はあると思います。
一人でこの廃墟の合間を歩くのは少し怖かったので、ソロじゃなくてよかった…((((;゚Д゚)))))))
この辺りでアイゼンをつけた方がいいだろうと言うことで、装着。いっきに機動力が上がりました!
素堀りトンネルでかっこいい写真を撮り、やっと本当の登山口!
トンネルが見えてきたら、登山口はもうすぐ!
ひと息ついて、まだまだ歩く!
この辺りから積雪量も増えてきて、プチ氷瀑を見ることもできました♪
そして、やっと本当のたかたる登山口!!
その昔、ここまで車で来ることができたと言うのだから、驚きです。
愛媛県は、落石だらけで荒れ放題のここを整備する気がないみたいですから、「秘境の地」となったわけですw
急登に悲鳴をあげる!まるで壁?すべり台のような雪道に苦戦
45度以上の斜度がある雪壁が立ちはだかる!
動画見ていただくと分かる通り、サラサラなんですね。どうやら前日に新雪が降ったようで、アリ地獄化しておりました。
しかし、注意してゆっくり登れば、上部に細いロープが見つけられます。
そこではなんとか踏ん張りましょう…。
そのあとは立山にある”下の廊下”風のへつりが出てきたり、足元がいいとは言えない中、バンバン危険な場所が出てくるので本当に注意です!
容赦ないです(汗)
しかし、この難エリアを超えたらたかたるの滝はもうすぐ。
「たかたる氷瀑」98%結氷!素晴らしいっ!
神社から約5時間経過。
や〜〜っと、本日の最終目的地「たかたるの滝」に到着しました。
怖かった!長かった!
しかし、疲れを忘れるほどの美しさです。
しばし、感動しすぎて呆然としてしまいましたよ。
名残惜しいですが、下山
しめて1時間ほど滞在したでしょうか。
終始気温はマイナスなこともあり、動いていないととても寒いです。
持っていたドリンクもしゃりしゃりになりましたしね。
最後の訪問者も到着したところで、今日は合計10名ほどの訪問、ほぼ貸切でゆったりと写真撮影をすることができました。平日バンザイ!
名残惜しいですが、気をつけて下山していきましょうか。
エアポケットに足を突っ込み大惨事
たかたるの滝登山口までの道は、急登だったわけですから、帰りも激くだり。
この時、サラサラのアイゼンの決まらない新雪に足を取られ、エアポケットに足を突っ込むと言う事件をやらかしてしまいました。
いや〜怖かった〜!
木に足がちょうど引っかかりことなきを得ましたが、木がなかったら10m以上は落ちていたとおもいます。(つまりずっと崖を歩いているわけです)
私の体重を支えてくれた巨木に感謝。
滑落なんて登山人生で、初めてでしたから、しばらく放心状態。落ち着いたところで、ゆっくり下山していきました。
特に怪我もなく、本当に、運が良かったとしか言いようがありません。
気をつけていても、事故は起こるのだな、と確信した出来事でした。
【まとめ】崖を登らないとたどり着かない「たかたるの滝」、脚力のある方は挑戦してみては?
誰にでもすすめられると言う訳ではなけれど、四国に住んでいる登山者なら一度挑戦してみてほしい「たかたるの滝」。
この世のものとは思えないダイナミックな絶景が、17km先に待ってくれています。
冬限定の、素晴らしい景色なので、ぜひ行ってみてほしい場所!
足元、頭上、ありとあらゆる場所に注意し、雪山登山技術を駆使しないとたどり着けませんので、アイゼン歩行に自信がついて、ロングも歩けるようになったらチャレンジしてみてもいいのではないでしょうか。
※「たかたる登山口」からは一切電波が繋がらないエリア。ソロで行くのはやめましょう!
以上、「高瀑(たかたる)の滝!西日本一の氷瀑まで17km歩いてきたぞ」の記事をお送りしました。
四国の雪山装備についての記事
【厳冬期〜残雪期】四国の雪山登山で使う装備一覧
「たかたるの滝」は標高1,300m地点にあり、厳冬期装備が必須です。
斜度のある部分は、12本アイゼン+ピッケルが役立ちますよ。
山岳保険だけでは不十分!遭難したら「ココヘリ」で今いる場所を伝えよう
携帯の通じないオフライン環境では、同行者に下山後、警察などに連絡してもらうしかありません。
必ずココヘリ(GPS)を身につけ、入山するようにしましょう。
持参してはおりましたが、今回、肝を冷やしました。最悪の事態が起きても、場所がわかってもらえると言うのは、心強いものですよ。
【登山遭難への備え】日帰り登山+αで持ち歩いておくべき!!8つのアイテム
この時間パツパツの予定では、明るいうちの救助は無理の場合もあるでしょうからビバーク装備一式はお忘れなく!マイナス気温だと、簡易テントなどの防寒で一夜を過ごせる装備は必須です。